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近ごろの南極
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長らくご無沙汰してしまった。
早いもので南極に来てから3ヶ月半。
夏隊が去ってから2ヶ月近くが経過した。
3月は比較的好天に恵まれ、海氷上のルート工作は順調に進み、隊員訓練の滑り出しも上々だった。
最近は日一日と日の出の時間が遅くなり、日の入の時間が早くなる。
本格的な冬は間違いなく近くまで来ている。
■ルート工作
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昭和基地は大陸から約4km離れた東オングル島にあり、夏のようにヘリコプターで移動することはできないので、スノーモービルや雪上車を利用して海氷を渡って島外に出掛けることになる。
海氷が薄いと踏みぬく危険があり、潮汐の関係で割れ目が走っている場所もある。
海氷上を闇雲に進むとどこに落とし穴が待ち構えているか分からないため、野外観測が行なわれるのに先駆けて安全なルートを確保する必要がある。
電動ドリルで氷に穴をあけて厚さを測り、赤旗をつけた竹竿を刺して少しずつルートを延ばして行くのがルート工作だ。

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旗と旗の間の方位を測り、距離を測る。
一人ではできない作業なので、他の隊員の手を借りながら進めて行く。
30人しかいない昭和基地なので、自分の仕事だけやっていればいいというものではなく、仕事でも生活でも人手が足りない時は他の人を手伝うし、逆に手伝ってもらうこともある。
そうしないと隊や基地の運営がままならない。

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氷の下は深い海。
緊張感が強いられるルート工作だけに、時々休憩をはさみ、気持ちを開放しながら進まないと長続きしない。
写真を撮っているうちに思わず海氷に寝転がる環境保全担当のカッシー。
開放された瞬間だ。

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ラングホブデ方面のルート工作の帰り、ルート脇の氷山に立ち寄ってみる。
夏にヘリコプターから見下ろした風景とは違い、下から見上げる氷山は迫力がある。
宙空圏担当のヤッチャンもご満悦。

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みんなの手を借りて、3月中にできあがったルートはこんな感じ。
2度目の越冬ということもあって、作業の無駄を随分省くことができ、天気にも恵まれて50次隊の初期の頃と比べると1ヶ月ほど前倒しのペースで進んだ。
この後は、大陸のルート整備を行ない、ラングホブデ方面の海氷がもう少し発達したらルート工作を再開する予定だ。

■訓練
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みんなが野外に出掛ける前に知識や技術を伝えるのも私の役目。
陸地のすぐそばの海氷には、タイドクラックと言われる割れ目が岸と平行に走り、深い所では4~5mもあるため非常に危険だ。
タイドクラックを渡るときはゾンデ棒と呼ばれる棒を刺し、安全を確認する必要がある。
ゾンデ棒の使い方や海氷上を行く際の危険の見極め方など、実践を通して身につけてもらうのが海氷安全講習。
この日は天気が良く、基地の北側の小さな氷山まで歩いて行って、氷山登頂体験もすることができた。

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野外で事故が起こっても他の誰かが助けに来てくれるわけではない。
事故を起こしたパーティーと昭和基地に残っているメンバーで何とか解決しなければいけない。
そのためには、いざというときに備えて事前に技術を身につけておく必要がある。
登山技術をきちんと身につけているのは私以外にもう一人。他の隊員は普段ロープに接する機会はほとんどないが、それでも何とかしなければいけないのが南極だ。

■生活
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「ロシア語のような言葉で無線が入り、遠くからヘリコプターが近づいてきます。」
「全員で迎えたいと思いますので、ヘリポートに集合してください」
・・・と隊長から基地内一斉放送が入る。
トラックの荷台に飛び乗ってヘリポートに近づくと発煙筒がたかれて遠くを指さす人がいる。
カメラをかかえて小走りに近づき、指さす方向をいくら見てもヘリの姿は見えない。
ややしばらくあって、何人かが地面を指さして騒いでいる。
見てみるとそこにはおもちゃのヘリコプター。
一瞬何のことかわからずキョトンとしてしまったが、「あっ!」と気づいて大笑い。
完全にだまされたエープリルフール!
隊長、通信隊員を巻き込んでの手のこんだ大芝居に脱帽した。

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どこかの場末の居酒屋?
と思いきや、この日はシェフの計らいで厨房が居酒屋に大変身。
ビストロ・ド・Hと銘打って、みんなで酒盛りをした。
数々のメニューがぶら下がっていても、ほとんど品切れというのが普通の居酒屋とは違うところ。
人手が足りないのを見て手伝いに入り、2時間くらい延々と鶏肉を揚げ続けた。

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47次、50次、52次と引き継がれた麺恋倶楽部。
夏隊で来ていた50次麺恋倶楽部会長のクマさんから2月に手打ちうどんの技を引き継ぎ、52次隊でも近々手打ちうどんパーティーを考えているが、それに先駆けてエプロンを藍染めした。
ついでにTシャツや三角巾も染めて、隊員の半数近くが休日の午後を楽しんだ。

■野外観測
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3月にできあがったルートを使って、隣の西オングル島にでかけた。
ここには宙空圏グループが管理する施設があって、オーロラ観測のためのアンテナが立っている。
そこで受けたデータを昭和基地に送っているのだが、ここ数カ月調子がおかしいというので、その原因究明が今回のミッション。
精密機械を持ち込み、試験電波を西オングルから昭和基地に送り、基地側で待機している隊員と無線でやりとりしながら故障の原因を探る。
どうやら昭和基地に送信する機械の問題らしいというところまで確認して作業終了。
寒い中での細かい作業は骨が折れる。

■地震
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3月11日に起こった東北の地震による地震波は、昭和基地でも観測された。
地震波が到達した瞬間、地震計の針は振り切れている。
南極に居るとインターネットでしか情報を得ることができないが、地震、津波、原発事故と立て続けに起こった被害や被災されている方たちの様子、復興に向けた動きなど、固唾を飲んで見ているのが現状だ。
「こういう時だからこそ、我々は昭和基地をきちんと維持し、観測を継続していく必要がある」と言った隊長の言葉が心に染みた。
 日本に居たら被災地に入って少しでも役に立てるのにと思いつつ、仲間の活動を感謝と尊敬の念を持って見守っている。

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今置かれている立場でベストをつくす。
家族を思い、仲間を思い、日本を思う。
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Re:私も日本を思ってます。
Azさん

山内さんのブログ見ました。
すごい行動力ですね。
こういった人たちの支えの積み重なりで復興が進んでいくことに、しみじみとありがたさを感じます。

自分には何ができるんだろうかと日々考えています。
K-HIGUCHI | URL | 2011/04/11/Mon 22:46 [EDIT]
私も日本を思ってます。
そうか、もうとっくの昔にしらせは日本に帰還しているのですね。
ほんとに日本のことを思うと、悲しくなります。
お友達も活動なさっているのですね。
フリーマントルでいっしょに飲みに行った33次隊OBの山内医師、
彼もパースから日本に個人的に支援に行き、沖縄県医師会の活動に参加されています。
http://kikokushien.blogspot.com/2011/04/blog-post_09.html

今置かれている立場でベストをつくす。
私にできることは、私の友達にNPO法人ねおすの活動を紹介することぐらいかな。
ミクシィの日記で紹介させていただきます。

今回、災害10日後くらいに、私にできることはお金の寄付くらいだと思い、オーストラリアのレッドクロスにクレジットカードでできる限りの額を募金したのですが、こうやって活動なさっている、ねおすや山内医師に直接使っていただく方法もあったのだな。。。と、今になってちょっと後悔。まぁ、長い目で見れば赤十字も多額の資金が運用できるわけだしいいのでしょうけれどね。

だんだん暗い時間が長くなってきますね。
うどん作って、長い夜を楽しんでください。
いつか、我々が札幌に移住したとき、手打ちうどんごちそうしてくださいね☆
Az | URL | 2011/04/10/Sun 15:22 [EDIT]

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