
前の週に引き続き、8月16日~20日にルート工作に出かけた。
ラングホブデのさらに南、スカルブスネスまでのルートを完成させることが今回の目的だ。
2日目に悪天が予想されたが、出かけられる時に出て、許された条件の中でベストを尽くすのが最良ということで、予定通り出発。
やれる時にやっておかないと、次のチャンスが訪れないかもしれないのが南極だ。
私を含め、総勢6人の旅だ。

昭和基地から南に約30kmにラングホブデ、さらに南に30kmにスカルブスネス。
いずれも大陸の沿岸部に位置する露岩帯だ。
それぞれに観測施設が設置されていて、そこに観測器が置かれている。

初日は午後から天候が荒れそうだというので、とにかくゆきどり沢の小屋に入ることを優先した。
小屋到着後時間があったので、近くのやつで沢を1時間ほど散策。凍った沢登りは南極ならではだ。

前回に引き続き、今回ももう一人のシェフが同行してくれて、美味しい食事が続いた。
寒い中での行動後のごちそうは何よりもありがたい。

2日目、悪天の予想だったが、とりあえず小屋を出発。
スカルブスネスルートの分岐点でしばらく天候待ちをしてみたが、残念ながら回復せず、先に進むことを断念する。
時間はたっぷり残っていたので、ラングホブデの山に囲まれたハムナの湾内で、氷瀑までのルートを作ることにする。
ここでルートを作っておけば、今後ラングホブデを訪れて時間がある時に氷瀑見物にでかけられる。
厳寒期の海氷は、今日も堅い。

1時間半ほどのルート工作で標識旗を9本立て、ハムナ氷瀑の下に到着。
間近に見るその荒々しい姿にみんな大感激だ。

迫力ある風景をカメラに収めようとそれぞれが写真を撮って、思い思いの時間を過ごす。

基地へのお土産にしようと、小さな氷山の氷を砕いて橇に積み込んだ。

3日目、待ちに待った晴天だ。
前回延ばしたルートを一路南下する。

晴れているとプレッシャーリッジも美しい。

ルート工作の合間に、景色をカメラに収める。

放射冷却でかなり冷え込んでいるが、「お外でランチ」はやめられない。

スカルブスネスに近づくと氷山帯となり、テーブル型氷山の間を縫って進む。

何万年もかかって大陸から流れ落ちてきた氷が大陸沿岸にたどりつき、後から流れてくる氷に押し出されて海に浮かんだのが氷山だ。

大陸氷床の氷は平らな形を保ったまま海に浮かび、テーブル型氷山となる。

海氷に閉じ込められた氷山は微動だにしないように見えるが、海氷とともに流れ、海氷が溶けてしまうと大海に漂うことになる。
3日目はきざはし浜まで7km地点でルート工作を切り上げ、ゆきどり沢小屋に戻った。
翌4日目、ゆきどり沢小屋を引き払い、残りのルート工作を仕上げてきざはし浜小屋に到着。
夏にヘリコプターで来て以来半年ぶり、冬に来るのは2年ぶりだ。
最終日は65kmの道のりをひたすら昭和基地に向けてたどった。
4日目、5日目とも雪模様で、写真を撮らず仕舞。
何はともあれ、スカルブスネスルート完成でまずは一安心。
同行の隊員に大いに助けられ、充実した5日間だった。
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Comment

Re:一足お先に戻っています
中山さん
お久しぶりです。
今度は釧路ですか。いいですね。
帰国後の再開を楽しみにしています。
お久しぶりです。
今度は釧路ですか。いいですね。
帰国後の再開を楽しみにしています。
K-HIGUCHI | URL | 2011/08/25/Thu 23:03 [EDIT]
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