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氷上輸送ルート
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しらせ接岸断念の決定を受けて、物資の空輸と氷上輸送が始まった。

昭和基地には港があるわけではなく、接岸と言っても直接岸に横づけするのではなく、すぐそばの海氷に停泊することを接岸という。
例年、昭和基地がある東オングル島の東側にしらせは停泊し、空輸と海氷上の輸送を行なうのだが、輸送距離はせいぜ2kmだ。
ところが、今年の海氷状況は非常に厳しく、最新鋭の砕氷艦しらせをもってしてもなかなか進むことができなかった。
現在しらせが停泊している位置は、昭和基地から直線距離で約21km。
ただし、昭和基地としらせの間には氷山群があり、一直線で進むことはできない。
12月中旬、万が一の事態に備えて、海氷状況の下見を行ない、氷上輸送が可能な3ルートを絞り込んでおいた。
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今月に入って、しらせが予想以上に難航している事態を受け、氷上輸送の可能性が高くなったため、ヘリコプターで2回偵察フライトを行なった。

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氷山があると、北東からの卓越風の風下側は雪が吹き払われて裸氷帯となることが多い。
裸氷に夏の日差しがあたると、外気の影響をもろに受ける表面はすぐには融けず、海氷の内部が先に融け、やがてパドルと呼ばれる水たまりが現れる。
だから、氷山群の間に入り込むと、あちらこちらにパドルが現れるためにルートとしては適さない。
2度の偵察フライトで上空から海氷の状況を確認し、氷山の場所、裸氷の様子を調べ、飛行経路をGPSに記録してデータを集めた。

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しらせは分厚い氷に体当たりを繰り返して、道を切り開く。

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接岸断念の決定が下った1月21日、上空からの偵察結果を基に、夜中に海氷上からルートの偵察を行なった。
南極とはいえ、陽射しが降り注ぐ日中は氷も緩みがちなので、氷上輸送は夜に行なうことになる。
輸送時と同じ条件の夜に偵察を行ない、ルートが確保できるかどうかを調べた。
結果、12月に偵察した3ルートの内の一つが使えることが分かった。
この日2ヶ月ぶりに太陽が沈み、白夜が終わった。

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すぐにでもルート工作を行ないたかったが、天候に恵まれず、結局氷上輸送が始まる直前の1月24日の日中に行なうことになった。
通常のペースだと、1日に立てられる旗の数はせいぜい30数本が限界だが、今回は50本の旗を1日で立てなければいけない。
スノーモービル2台に3人が分乗し、とりあえずやらなくても支障のない作業を割愛し、作業効率のアップを図った。
越冬中のルート工作の経験と入念な偵察が功を奏し、これまでの倍以上のペースで旗を立て、氷厚を測ることができた。
快調なペースでルート工作を行なっていると、この日のために1年間ルート工作を行なってきたような錯覚に陥る。

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行程の半分を過ぎたあたりでしらせまでたどり着ける目途が立ち、心に少し余裕が出てきたところに子どものアザラシが近づいてきた。
休憩がてら、しばらくアザラシ見物とする。
見渡す限りの海氷上には親アザラシの姿はない。
少し疲れた様子で氷の上を這って移動する子アザラシは、どこに向かうのだろう。

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作業を再開してしばらく進むと、今度はペンギンが近づいてきた。
こちらも単独行。
ルッカリーから餌を取りに北に向かっているんだろうか。

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天候に恵まれ、暖かい日差しの下、シェフが心をこめて作ってくれた弁当を広げる。
恒例の氷上ランチも今回で終わりかな。

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お昼を挟んで約6時間。新規に立てた旗は54本、全長約30kmの氷上輸送ルートが完成した。
基地に戻り、GPSデータを整理し、皆で共有できるようにルート方位表をまとめてひと段落。

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この日の夜から氷上輸送が始まった。

最後の大仕事。
事故なく安全にできるだけ多くの物資を運んで、53次の越冬隊に引き継げればと思う。
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